乳房の形や乳頭に変化があるときは注意
乳房の形が変わってきた、左右差が出てきた、乳房に凹みが出てきた、硬いしこりを触れる、乳頭が陥凹してきた、乳頭にびらんが出てきたなどの症状が見られた際は、自己判断せず、早めに受診しましょう。
乳房の変形
乳がんが進行すると乳房の形が変化し、左右非対称となることがあります。
左右の乳房の大きさは、通常、わずかな違いがありますが、片方の乳房が変形している、乳頭の高さに違いがある場合は、乳がんの可能性が考えられます。
乳頭の陥没
「陥凹乳頭」は、乳頭が乳輪より奥に引き込まれている状態のことです。陥凹の程度には個人差があります。元々乳頭が陥凹している場合は問題ありませんが、急に陥凹したり、変形したり、硬くなったりする場合には、乳がんなどの可能性があるため、早めの検査をお勧めします。
乳頭のびらん
びらんとはただれのことです。乳頭や乳輪のびらんは、湿疹などの皮膚疾患が原因となることが一般的ですが、治療しているのにもかかわらず湿疹が続く場合やかさぶたができても改善されない場合は、「パジェット病」という特殊な乳がんの可能性があります。
乳房の変形を引き起こす原因・疾患
乳頭の陥没を引き起こす原因・疾患
先天性陥没乳頭
「先天性陥没乳頭」は、生まれつき乳管が短く、乳頭が内側に引き込まれている状態です。特に機能的な問題がなければ治療は不要ですが、陥没の程度が強い場合には授乳に影響を及ぼすことがあり、必要に応じて外科的矯正手術が検討されます。
乳がん
乳がんが進行すると、乳頭が内側に引き込まれることがあります。
乳頭のびらんを引き起こす原因・疾患
乳房パジェット病
「パジェット病」は、乳頭や乳輪のただれが現れる乳がんです。
比較的高齢の女性に発症し、発症率は全乳がんの0.5%程度と極めてまれな病気です。この疾患では、がん細胞が乳頭や乳輪から発生して皮膚内に広がります。
皮膚炎
乳頭乳輪部の皮膚が乾燥し、ただれ、湿疹、かゆみが生じることがあります。
一時的な皮膚の炎症であれば、塗り薬や保湿剤などで軽快します。
受診の目安
乳房や乳頭の変化には、さまざまな原因があります。
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乳房の形が変わって、左右差がでてきた
- 乳頭がへこんできた
- 塗り薬を塗っても乳頭のびらんが治らない
などの症状がある場合は、一度当クリニックにご相談ください。
よくある質問
乳房の形が変わるのは乳がんのサインですか?
乳房の変形は乳がんの可能性もありますが、乳腺症や乳腺炎などが原因の場合もあります。
皮膚のひきつれやへこみが出てきた、乳房の左右差が急に現れたなどの場合は、早めに専門医を受診しましょう。
乳がんで乳房が変形する理由はなんですか?
乳がんが進行すると、腫瘍が乳腺の周囲組織を引き込み、乳房の皮膚がひきつれたり、へこんだりすることがあります。
また、乳がんが皮膚や靭帯に浸潤すると、乳房全体が硬くなり、形が変わることもあります。
乳頭が突然陥没しました。病院に行くべきですか?
生まれつきの陥没乳頭であれば問題ありませんが、今まで陥没していなかった乳頭が急に陥没した場合は、乳がんの可能性も考えられるため、専門医の診察を受けることをおすすめします。
乳頭のかゆみやびらんは病気ですか?
乳頭のかゆみやびらんは、皮膚炎や湿疹などの可能性が高いですが、長期間続く場合や湿疹が治らない場合は、パジェット病(乳がんの一種)の可能性もあるため、早めに病院を受診しましょう。
乳房のしこりがあり、乳頭分泌もあります。大丈夫でしょうか?
しこりと乳頭分泌が同時に見られる場合、乳腺症や乳管拡張症などの良性疾患の可能性がありますが、乳がんの症状の一つとして現れることもあります。特に、血が混じった分泌物が出る場合は早めの検査が必要です。
授乳後に乳頭がへこんだまま戻らないのですが大丈夫ですか?
授乳による乳管の変化や乳腺炎の影響で乳頭が陥没することがあります。
基本的には時間とともに戻ることが多いですが、戻らない場合や痛みを伴う場合は、一度乳腺外科で相談しましょう。
乳房の皮膚が硬くなってきたのですが、原因は何ですか?
乳腺炎や乳房の外傷後の変化で皮膚が硬くなることがありますが、炎症性乳がんなどの可能性も否定できません。
乳房の変形や乳頭の異常を調べるにはどんな検査を受ければよいですか?
乳房の異常を調べるには、マンモグラフィーや乳房エコー検査、MRI検査などがあります。
異常が疑われる場合は、細胞診や組織検査が行われることもあります。自己判断せず、専門医に相談し、適切な検査を受けることが大切です。