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胸のしこりを触れる

胸にしこりを触れたら…放置せずに確認を

胸にしこりを触れたら…放置せずに確認をしこりとは、皮膚や皮下組織にできる腫瘤のことです。良性のものも悪性のものもあります。
左右同じ位置にあるしこりは、乳腺の一部である可能性が高いため、数週間後に再び触ってチェックしてみましょう。良性のしこりは、比較的やわらかく弾力があり、コロコロと動くことが多いです。
一方、乳がんのしこりは、硬くて境界がわかりにくく、あまり動かないことが多いです。
しこりを触れたら、自己判断せずに、病院を受診してください。

胸のしこりの自己チェック方法

乳がんは自分で気付くことができるがんの一つです。早期発見のために、月に1度はセルフチェックを行うことをお勧めします。
月経前には乳房が張りやすくなるため、セルフチェックは月経終了後から4~5日後にしましょう。閉経後など月経のない方は、毎月同じ日に行うようにしましょう。

胸のしこりの良性と悪性の特徴

乳がんのしこりの特徴(注意が必要なしこり)

下記の症状に当てはまる場合は、乳がんの可能性があるため、病院を受診しましょう。

  • 硬い・ゴツゴツしている
  • 境界がわかりにくい
  • 動きにくい・乳腺や皮膚に癒着している
  • しこりが徐々に大きくなっている
  • 痛みがない(痛みがあることもあるがまれ)

良性のしこりの特徴(線維腺腫・嚢胞など)

下記の症状に当てはまる場合は、良性の可能性が高いですが、自己判断せずに検査を受けましょう。

  • 柔らかい・弾力がある
  • 境界がはっきりしている
  • 押すとよく動く(可動性がある)
  • 触ると痛みを伴うことがある(痛くないこともある)

年代別の胸のしこりと原因

20代~30代の胸のしこり

20代~30代の方は、乳腺が厚いため、正常な乳腺の一部をしこりのように触れることがあります。
実際、検査により、しこり(腫瘍)が見つかる場合でも、嚢胞や線維腺腫などの良性腫瘍であることが多いです。しかしながら、40歳未満で乳がんを発症する方もいらっしゃいます。
「しこりかも?」と思った際は、当クリニックにご相談ください。

40代~の胸のしこり

40代以上で胸にしこりを自覚した場合、病院で検査を受けることが望まれます。
統計的には乳がんは40代から発症が増加することが知られています。マンモグラフィと乳腺エコー検査を組み合わせて詳しく検査を行い、しこりが見つかった場合は、良性なのか悪性なのかを判断する必要があります。

胸のしこりで考えられる疾患

乳がん

乳がんは、乳腺の組織に発生する悪性腫瘍です。日本人女性において、最も罹患率の高いがんの一つであり、早期発見・早期治療が非常に重要です。

乳腺症

乳腺症は、30~40代の女性に多い乳腺の良性変化の総称で、嚢胞や腺症などが含まれます。ホルモンバランスの影響を受けやすく、しこりとして触れることがあります。

線維腺腫

線維腺腫とは、10代以降で見られる良性腫瘍です。しこりはコロコロとよく動く特徴があります。線維腺腫と診断された場合、ほとんどの場合、特別な治療は不要ですが、急速に大きくなる場合は摘出することも検討されます。

乳腺嚢胞

乳腺嚢胞は、乳腺内にできる袋状の構造物です。内部に液状の内容物が入っていることが多いです。30~50代の女性に多く見られ、ホルモンバランスの変化が関与していると考えられています。しこりとして触れることがありますが、嚢胞と診断された場合、特別な治療は不要です。

乳腺炎

乳腺炎は、乳汁のうっ滞や細菌感染により乳房に炎症が起こる疾患です。赤み、腫れ、痛み、しこりなどの症状が現れ、特に授乳期には「うっ滞性乳腺炎」が多くみられます。細菌感染が進むと「乳腺膿瘍(膿のたまり)」を形成し、切開排膿が必要になることもあります。授乳期以外にも「乳輪下膿瘍」や「肉芽腫性乳腺炎」などの乳腺炎を発症することがあります。

胸のしこりの特徴から考えられる病気の可能性

しこりの特徴 考えられる疾患 主な特徴・症状
硬くて動かないしこり 乳がん ・表面がデコボコしていることが多い
・痛みはほとんどない
・進行すると皮膚のひきつれや陥没が見られる
弾力がありよく動くしこり 線維腺腫 ・比較的若い世代(10~30代)に多い
・大きくなることがある
柔らかくわかりにくいしこり
左右両方に同じようなしこり
乳腺症 ・40~50代に多い
・ホルモンの影響で、乳腺をしこりのように触れる
・痛みを伴うことがある
・月経周期によって大きさが変わることがある
急に大きくなるしこり 葉状腫瘍 ・短期間で大きくなることがある
・良性のことが多いが、一部悪性のものもある
押すと痛むしこり 乳腺炎・乳腺膿瘍 ・授乳中の女性に多いが、授乳期以外でも発症する
・痛み、腫れ、赤みを伴い、発熱することもある
乳頭からの分泌を伴うしこり 乳管内乳頭腫・乳がん ・透明・黄色の分泌物は問題のないことが多い
・茶色、赤色の分泌物は乳管内にできものができている可能性がある

しこりの特徴だけでは良性・悪性を判断することはできません。自己判断せず、気になる症状があれば病院を受診することをお勧めします。

よくある質問

胸のしこりは痛みがあると乳がんではない?

乳がんは多くの場合、痛みを伴わないしこりとして現れます。しかし、まれに痛みを感じる場合もあるため、「痛くない=乳がんではない」とは言い切れません。

乳がん検診で異常なしでも胸のしこりを触れることがありますか?

乳がん検診では、マンモグラフィやエコー検査でしこりの有無を調べますが、検査時点で異常がなくても、その後、しこりが発生することがあります。
特に40歳以上の方は、定期的に乳がん検診を受けつつ、日頃からセルフチェック(ブレストアウェアネス)を行い、異常を感じたら早めに受診しましょう。

生理前に胸にしこりができるのは異常ですか?

生理前になるとホルモンの影響で乳腺が張り、しこりのように感じることがあります。
周期的に症状が変化し、生理後には症状が落ち着くことが多く、このような症状は心配入りません。ただし、生理が終わっても硬いしこりが残る場合や、しこりが大きくなる場合は、乳がんや他の乳腺疾患の可能性もあるため、病院を受診することをお勧めします。

胸のしこりが大きくなった場合はどうすればいいですか?

しこりが急に大きくなる場合、線維腺腫や葉状腫瘍、乳がんの可能性があります。病院を受診し、精密検査を受けることをお勧めします。

授乳中に胸のしこりを触れるのは異常ですか?

授乳中は乳腺が発達し、しこりのように触れることがあります。

乳がんのしこりは小さいうちに見つけられますか?

乳がんのごく初期段階はしこりが小さく、自己触診では発見しづらいため、マンモグラフィや超音波検査を受けることが大切です。
これらの検査により、早期発見・早期治療が可能となります。定期的に乳がん検診を受けましょう。

胸のしこりを予防する方法はありますか?

乳がんの発症を完全に防ぐことはできませんが、適度な運動やバランスの取れた食生活、禁煙・節酒、適正体重の維持などがリスクを下げるといわれています。また、ブレストアウェアネス(乳房のセルフチェック習慣)を実践し、定期的に乳がん検診を受けることで、早期発見・早期治療につなげることができます。

胸のしこりが消えることはありますか?

ホルモンの影響による「乳腺症」や、一部の良性のしこり(「線維腺腫」「乳腺嚢胞」など)は時間の経過とともに小さくなったり、消えたりすることがあります。一方で、乳がんのしこりは自然に消えることはありません。

胸に突然大きなしこりができて痛いです。何かの病気でしょうか?

急に大きくなったしこりで痛みがある場合、以下のような病気の可能性があります。

症状の特徴 考えられる疾患
急にできたしこり+痛み+赤み
乳房の腫れ+痛み+発熱
乳腺炎・乳腺膿瘍
急激に大きくなるしこり
痛みは強くない
葉状腫瘍

特に「急激に大きくなる」「強い痛みが続く」「皮膚が赤く腫れる」「熱を持っている」といった場合は、乳腺外科を早めに受診してください。