線維腺腫
一つまたは多発性に乳腺に発生する良性腫瘍です。
10代〜30代で多くみられますが、どの年齢でもみられます。
多くの場合、大きさが3cmを超えることはありませんが、10%程度で4cmを超えることがあります。
加齢とともに小さくなります。3cm未満の小さな線維腺腫は基本的には経過観察で、切除の必要はありません。
葉状腫瘍
乳腺に発生する腫瘍の一つで、線維腺腫と似た特徴を持ちますが、良性と悪性の中間の性質をもち、急速に大きくなるのが特徴です。
40代〜50代の方に多く見られます。線維腺腫として観察されていたものが急速に増大し、組織検査で診断される場合もあります。
組織学的には、良性、境界病変、悪性のいずれかに分類されますが、針生検では明確な区別が難しい場合があります。
葉状腫瘍と診断が確定した場合は、外科的切除が必要です。
線維腺腫・葉状腫瘍の症状と特徴
線維腺腫と葉状腫瘍は、どちらも乳腺に発生する腫瘍ですが、葉状腫瘍の一部は悪性のものがあり、注意が必要です。
共通する症状
- 乳房にしこり(腫瘤)ができる
- しこりは丸みがあり、ゴムのような弾力がある
- 触るとよく動く(可動性がある)
- 通常、痛みを伴わない

線維腺腫の特徴
- 10代後半~30代の若い女性に多い
- しこりは2~3cm程度と比較的小さい
- ホルモンの影響を受け、妊娠や生理前にサイズが変化することがある
葉状腫瘍の特徴
- 40代~50代の女性に多い
- しこりが急速に大きくなる(5cm以上になることも)
- 表面がデコボコしていたり、硬く感じることがある
- まれに皮膚が引っ張られたり、赤みや熱感を伴うことがある
線維腺腫・葉状腫瘍の原因
線維腺腫
線維腺腫の発症原因は、まだ完全に解明されていません。しかし、女性ホルモンとの関連が示唆されています。
女性ホルモンの変動により、線維腺腫の形成や成長、消失が認められることから、エストロゲンやプロゲステロンのバランスが発症に関与している可能性が考えられています。詳細が不明なため、まだ研究途上です。
葉状腫瘍
葉状腫瘍は乳腺の腺管上皮から発生する乳がんとは異なり、間質細胞が腫瘍化したもので、肉腫に分類されます。
葉状腫瘍の発生メカニズムやリスク要因などはまだ明確には把握されておらず、遺伝的なリスクの有無も明らかではありません。
「線維腺腫から腫瘍化する」という説もありますが、これについても、はっきりとした研究データが存在していません。
線維腺腫・葉状腫瘍の検査
視触診、マンモグラフィー、超音波検査などを行い、必要に応じて、針生検などの組織検査を行います。
線維腺腫・葉状腫瘍の治療
線維腺腫
3cm以下の小さな線維腺腫は基本的に経過観察します。3cmを超える大きなものや、急激に増大する場合は、外科的切除を考慮します。
葉状腫瘍
原則として手術で切除します。局所再発のリスクを低減するため、正常な乳腺をつけて、完全に切除することが重要です。
受診の目安
線維腺腫の受診の目安
線維腺腫は良性の腫瘍であり、基本的には経過観察となります。しかし、以下のような場合は受診を検討しましょう。
- しこりが急に大きくなった場合
- しこりの形や硬さが変化した場合
- 不安が強い場合
よくある質問
乳房にしこりを見つけました。線維腺腫でしょうか?
乳房のしこりは、線維腺腫以外にもさまざまな原因が考えられます。自己判断は避け、医師の診察を受けましょう。
線維腺腫と診断されました。治療は必要ですか?
線維腺腫は良性の腫瘍であり、基本的には経過観察となります。しかし、しこりが急激に大きくなる場合や、不安が強い場合などは、手術による摘出を検討することもあります。医師と相談して、適切な治療方針を決めましょう。
葉状腫瘍は悪性ですか?
葉状腫瘍は、良性、境界病変、悪性の3つのタイプに分類されます。葉状腫瘍と診断がついた場合は、良性や境界病変であっても、再発のリスクがあるため、手術による摘出が必要です。
線維腺腫と葉状腫瘍の違いは何ですか?
線維腺腫は良性の腫瘍であり、葉状腫瘍は良性、境界病変、悪性の3つのタイプがあります。葉状腫瘍は、線維腺腫に比べて急速に大きくなることがあります。画像検査や組織診で鑑別が難しい場合もあり、確定診断には手術が必要となることもあります。
線維腺腫や葉状腫瘍は、放置しても大丈夫ですか?
線維腺腫は、小さなものは基本的には経過観察となりますが、定期的な検査で大きさや形に変化がないか確認することが大切です。葉状腫瘍は、診断が確定した場合は、基本的に外科的切除が必要です。
線維腺腫や葉状腫瘍の手術は、入院が必要ですか?
日帰り手術で対応できる場合もあれば、数日の入院が必要になる場合もあります。手術方法や入院期間については、医師にご確認ください。
線維腺腫や葉状腫瘍の手術後、再発することはありますか?
線維腺腫は、手術で完全に摘出すれば、再発することはありません。葉状腫瘍は、良性であっても再発することがあり、特に悪性や境界病変悪性の場合は、再発のリスクが高まります。手術後の定期的な検査で、再発の有無を確認することが大切です。
線維腺腫や葉状腫瘍は、乳がんのリスクを高めますか?
線維腺腫や葉状腫瘍は、乳がんのリスクを高めることはないとされています。