TOPへTOPへ

乳頭から分泌物がある

乳頭から分泌物が出る場合

乳頭から分泌物が出るのは病気?妊娠期や授乳期には、乳腺が発達して乳汁が作られ、乳管を通って乳頭から分泌されます。この過程には、エストロゲンやプロラクチンなどのホルモンが関わっています。
しかしながら、妊娠や授乳期以外に乳頭から分泌物が出ることがあり、これを「乳頭異常分泌」と呼びます。透明、黄色、白濁などの分泌物はホルモンバランスの乱れが原因とされ、一般的に問題はないことがほとんどです。注意が必要なのは、茶色や血が混じる赤色の分泌物で、乳管内に何らかのできものができている可能性があります。

乳頭から分泌物が出る主な原因

初期の乳がん(非浸潤性乳管がん)

しこりを作らない乳がん(非浸潤性乳管がんなど)乳がんは、乳管や小葉の上皮細胞から発生しますが、乳がん細胞が乳管や小葉内にとどまり、周辺組織に広がっていない場合、「非浸潤性乳がん」と呼ばれ、非常に初期の段階であるとされます。
マンモグラフィやエコーでは異常が見られず、乳頭分泌のみが唯一の症状である場合もあります。

その他の乳腺疾患

「乳管内乳頭腫」は、乳管内にできる良性腫瘍です。乳頭分泌やしこりなどの症状が見られます。
「乳腺症」は、女性ホルモンの乱れによって引き起こされる病態です。乳房のしこりや痛みが特徴ですが、乳頭分泌がある場合もあります。

薬剤、ホルモン異常

乳腺自体に異変がない場合でも、ホルモンのバランスが乱れることで、乳頭分泌が起こることがあります。また、薬剤が原因で、乳頭分泌が生じることがあります。
原因薬剤として、抗うつ薬、抗精神病薬、降圧薬、胃潰瘍の薬、経口避妊薬などがあります。

分泌物の色別の原因と緊急度

透明、白、黄色の分泌物(緊急度:低)

基本的に病的なものではなく、経過観察で問題ないことが多いです。

考えられる原因

  • ホルモンの影響(生理前・妊娠・授乳経験がある場合)
  • 乳管拡張症(加齢に伴い乳管が広がることで分泌物が出る)
  • 乳腺炎(授乳中に起こることが多く、痛みや腫れを伴う)

茶色・血が混じる(赤・ピンク)分泌物(緊急度:中)

血が混じる分泌物は、乳管内に何らかのできものができている可能性があります。乳がんの可能性も否定できません。片側の乳頭から持続的に出る場合や、しこりを伴う場合は、病院を受診してください。

考えられる原因

  • 乳管内乳頭腫(乳管内の良性腫瘍)
  • 乳管内がん・乳がん
  • 乳管の損傷や炎症(外傷や強い刺激で乳管が傷つく)

乳頭からカスが出る場合

乳頭から白や黄色っぽいカスのようなものが出ることがあります。これは多くの場合、皮脂や古い角質が乳頭にたまってできるもので、病的なものではありません。

乳頭からカスが出る主な原因

皮脂や角質の蓄積(乳頭垢)

乳頭や乳輪には皮脂腺があり、皮脂と古い角質が混ざってカスのようなものがたまることがあります。特に分泌が多い人や、洗浄が不十分な場合に起こりやすいですが、基本的に問題はありません。

母乳や分泌物の乾燥

授乳中や妊娠中の女性では、母乳や乳汁の分泌が少量でもあると、それが乾燥してカス状に見えることがあります。

乳頭からカスが出るときの対処法

優しく洗浄する

石鹸をよく泡立て、指の腹で優しく洗い流しましょう。ゴシゴシこすると皮膚が傷つくため注意が必要です。

保湿をする

乾燥が原因で皮脂の分泌が増えることがあるため、乳頭専用の保湿クリームやワセリンを塗るのも効果的です。

乳頭からのカスは多くの場合、皮脂や角質の蓄積で問題ありません。

乳頭分泌を引き起こす病気

乳管内乳頭腫

乳頭・乳輪の皮膚トラブル、外傷、過敏症

服や粗いタオルによって乳頭が摩擦されると、傷を負い、出血することがあります。乳頭や乳輪の皮膚は、他の部位よりも過敏でデリケートです。そのため、下着などとの摩擦によりかゆみを感じ、かきこわして炎症や出血が生じることがあります。軟膏やクリームで保湿・保護すれば改善される場合もありますが、症状が持続する場合は、ぜひご相談ください。

バジェット病

「バジェット病」は、乳頭や乳輪に発生する珍しいがんです。
主な症状としては、乳頭乳輪の皮膚のただれ・びらん、赤み、かゆみなどが挙げられます。乳頭・乳輪のびらんのような症状が治らない場合は、放置せずに病院を受診しましょう。

薬剤性乳頭分泌

服用している薬によって乳頭から分泌物が出ることがあります。降圧薬や胃潰瘍の薬、抗精神病薬、抗うつ薬などが原因となりやすいお薬です。このような場合は、特に経過観察で問題ありませんが、服薬の継続・変更については、かかりつけの医師と相談してください。

よくある質問

乳頭から分泌が出るのは良性ですか?

分泌物が片側の乳頭だけに見られる場合は、何らかのできものが乳管内にできている可能性があります。できものが良性のものか、悪性のものかをはっきりさせるためには、詳しい検査が必要となります。両側の乳頭や、片側の乳房の複数の乳管から分泌物が出る場合、内分泌疾患や薬剤など、乳房以外の原因が考えられます。

乳頭から透明な液が出るのは異常ですか?

分泌物が無色透明・白色・黄色であれば問題ありません。

ブラジャーに黄色いシミができます。病気ですか?

女性ホルモンの影響などにより、病的な原因がなくても乳頭から多少の分泌物(透明、白色、黄色)が見られることがあります。
病的な原因がある場合は、乳頭を絞らなくても分泌物が出たり、下着がしょっちゅう汚れたりします。色としては、黄色から赤褐色がよく見られます。しばらく様子を見ていただき、分泌物の量が増えたり、分泌物の色が変化してくる場合は、乳腺科へご相談ください。